おすすめ!北からの光

小正月ですね。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

↑小正月でも食べられないお鏡で?す

前回の照明つながりで、明かり、それも電気を使わない、北からの自然光について書きたいと思います。

 

私ごとですが、以前、トトロの森からそう離れてない、「おしら講」「女正月」が残っているという、地元住民の苗字がほぼほぼ3種類の、東京都心への通勤圏とは思えないような地域に住んでいたことがあります。

そこは、裏に竹やぶがあり、築120年ほどの藁葺きにアルミカバーを載せた、大黒柱が黒光りしている田舎あるあるな特殊物件賃貸だったのですが、(当然トイレは汲み取り)典型的な水周りが全て北側のつくりで、冬はお風呂から上がった瞬間に冷えるという、実に古式ゆかしい家でした。

北向きの台所には換気用の小さな窓が東側に1カ所で、採光効果は殆どありませんでした。古い家には日本の知恵が詰まっていて楽しかったのですが、中途半端なリフォームもあいまって、水周りの寒さと暗さには、馴染めませんでした。

この暗く冷える水回りを数年体験すると、自分がいつか家を建てる時には、絶対明るい水回りにするぞ!と、どうしても思ってしまいます。

そんなわけで、縁あってその後住んだ家では、台所と、洗面所にそれぞれ天窓を付けました。

北側の天窓からの光は、確かに明るかったです。しかし北側といっても夏は当然暑く、特に台所は調理する時頭の上から降り注ぐ光に日焼けしそうだったので、自分で布を縫ってハトメを付け、必要な時に取り外せるシェードを後付けしました。この天窓には、網戸はあっても、シェードは付いてなかったのです。

↑小さい写真で見にくいですが、これが当時の家の北側の天窓です。もう一箇所の窓との相乗効果で、洗面所が明るく、ここでも洗濯物乾きそうでした。

 

今回サエラさんに建てていただいた家には、北側のキッチンにつながるダイニングに天窓を付けました。中が白い壁ではない分、採光に天窓が欲しかったのです。

網戸は無いのですが、シェードが付いているのがありがたい。入居した秋には、まだ暑かったのでシェードを付けたままでしたが、冬になって取りました。

テーブルで食事しながら飛んでいく鳥や、月が見えるのが、楽しいです。

この天窓ですが、実は北側に設置するのが良いのには理由があります。

明るい南側にリビングを作るのが日本の家の定番ですが、南側からの光は、時間によってかなり変化があるのと、直射光が強すぎて、影も強くなります。

でも、北からの光は、他の方位ほど変化せず、白く柔らかな、安定した間接光が続きます。

例えばデッサン教室などの絵を描くアトリエでは、光が刻々と変化していく南側からの光は、影も色も変化するので不向きです。なので北側の高い所に窓がもうけてあるのですが、これは昔懐かしいノコギリ屋根の工場も同じです。

江戸時代にイギリスで考案されたこの屋根の形状が、明治時代に日本の繊維工場に導入され、「工場」といえばあの形を思い浮かべるほど浸透したらしいのですが、当時の日本の主力産業だった繊維業にとって、まだ電気が普及してなかった頃には特に、日中なるべく長時間、繊維の色を正しく見分けられるような、北からの光が大事だったのだと思います。

実はこの北からの、晴天の日の午前11時~午後2時くらいまでの光というのが、(北半球の場合)本来の色を正しく見分けられる光として、カラー関係のお仕事をされている方にはよく知られている条件なのです。それだけ北側からの光というのは安定している性質があるということなのだと思います。

北というと何か寒くて暗いイメージで、特に日本の家は南側重視な傾向がありますが、物が比較的退色しにくく、高所に窓を作れば実はかなり明るいというメリットがありますので、開け閉めしないけど明かりとりはしたい、という時にも、北側の窓はおすすめです。(都市部の狭小住宅は、方角を選べないデメリットを、北からの採光を積極的に取り入れてカバーしているケースが多いように感じます)

もちろん、窓からの熱の発散を考えると、寒冷地では考慮が必要だと思いますが、もともとログハウスではやたらと大きな窓というのも少なめかと思いますので、高所に横長のはめ殺しの採光用窓なんて、採光には効果的かと思います。

南側にリビングを持っていくと、なんだかんだでキッチンなどの水回りが北側になって、暗い…という方は、天窓、オススメです。

↑右側が以前いた家の天窓、左がサエラさん施工の天窓です。(多少オーバーに描いてます)

今回、天窓を付けてもらって気づいたのが、より採光が効率的なように、傾斜がつけられているということでした。

サエラさんの物件では、窓ガラスから天井に向かって、斜めに広がっているので、それだけ効率的な照明効果があります。(私は全然気付かず、施工中旦那に言われて初めて気づいたのですが。)

こういう細かい部分も、嬉しいですね。設計してくださったサエラさんと、丁寧に仕上げてくださった大工さんに感謝です。( ´∀`)

スヌ族

投稿者: スヌ族

修羅の国F県在住。 まだまだ引越しの荷物、片付いてません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA